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令和7年度 賃貸不動産経営管理士試験 問10 選択肢③を徹底解説――「業務管理者の選任」に隠された二重構造

ペンギン社長

不動産業界歴約20年・代表歴約6年の現役不動産会社代表。 宅建士・賃貸不動産経営管理士・マンション管理士・ 管理業務主任者・FP2級など5資格以上を保有。 40代で賃管士に挑戦し1回目不合格を経て2回目で合格。 実体験をもとに不動産業界に興味がある方・ 入りたての方へ向けて役立つ情報を発信しています。

※本記事にはプロモーションが含まれています。

はじめに

今回は、令和7年度の賃貸不動産経営管理士試験から、問10の選択肢③を取り上げます。

この問題、表面上は「破産して復権を得ない者を業務管理者に選任できるかどうか」を聞いているだけのように見えます。しかし実は問題の構造が二重になっていて、単純な知識の暗記だけでは正解にたどり着けない仕組みになっているのです。

本記事ではその「二重構造」を解き明かしながら、業務管理者の選任について深掘りして解説していきます。読み終えていただくと、この試験が年々レベルアップしていることも実感していただけるはずです。

この記事では次の3つのポイントで解説していきます。

  1. 欠格要件とは何か
  2. この問題が持つ二重の問題構造
  3. 例題で理解を確認する

それでは早速見ていきましょう。

問題文と正解

まず問題文を確認してください。

「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者を、業務管理者に選任することはできない。」

正解は「○」、つまり正しい記述です。

「それなら簡単じゃないか」と思った方、ちょっと待ってください。

この問題、答えは確かに〇なのですが、「なぜ〇なのか」をちゃんと説明できるでしょうか。賃管業法には業務管理者固有の欠格要件の規定がないのに、なぜ破産した人は業務管理者になれないのか。ここを正確に理解していないと、似たような問題が出たときに確信を持って答えられません。ここからその「なぜ」を徹底的に掘り下げていきます。

STEP1:業務管理者とは

まずは業務管理者とは何かを整理しておきましょう。

業務管理者とは、賃貸住宅管理業者が各営業所・事務所ごとに選任する責任者のことです。

業務管理者が担う役割は、法律の条文に沿って整理すると、大きく7つあります。

  1. 重要事項説明の管理・監督:オーナーと管理受託契約を結ぶ前に行う重要事項説明(第13条)が、適切に実施されているかを指導・監督する
  2. 契約書面交付の管理・監督:契約締結時に交付する管理受託契約書面(第14条)の記載内容や交付手続きを管理する
  3. 維持保全業務の管理・監督:建物の点検・清掃・修繕などの維持保全業務(第15条)が適正に行われているかを確認する
  4. 財産の分別管理の管理・監督:オーナーから預かった家賃や敷金などの金銭が、会社自身の財産と明確に分別管理(第16条)されているかを監査する
  5. 苦情対応の管理・監督:入居者や周辺住民からの苦情・問い合わせ(第17条)への対応状況を管理・監督する
  6. 帳簿の備付けの管理・監督:営業所に備え付けるべき業務に関する帳簿(第19条)の記載内容や管理を監督する
  7. 定期報告の管理・監督:管理業務の実施状況をオーナーへ定期的(第20条)に報告する手続きを管理する

このように業務管理者は、管理会社の営業所における管理業務全般を法律に基づいて正しく動かすための、まさにキーパーソンです。

また非常に重要なのが、1つの営業所に最低1名の業務管理者が必須だということです。業務管理者が欠けた状態になると、新たな管理受託契約の締結ができなくなります。それだけ責任の重いポジションなのです。

STEP2:業務管理者の資格要件

次に、業務管理者になるための資格要件を確認します。

業務管理者になれるのは、次の2つのルートのどちらかです。

  • ルートA「賃貸不動産経営管理士」として登録を受けた者。国家資格として登録されていれば、これだけで業務管理者の要件を満たします。
  • ルートB「宅地建物取引士+実務経験」のルート。具体的には、①宅建士の登録を受けていること、②賃貸住宅管理業の実務経験が2年以上あること、③国土交通大臣が指定する講習を修了していること、この3つをすべて満たす必要があります。

ここで重要なポイントがあります。業務管理者に選任されるためには、こうした「資格登録」が前提になっている、ということです。

**資格登録ができない人は、そもそも業務管理者になれない。**ここが今回の核心につながっていきます。

STEP3:欠格要件の定めはない――ここが落とし穴

さて、ここが今回の一番のポイントです。

賃貸住宅管理業法には、業務管理者固有の「欠格要件」の条文は存在しません。

これを聞いて「じゃあ誰でも業務管理者になれるのか?」と思った方、それが落とし穴です。

では、なぜ「破産して復権を得ない者」は業務管理者になれないのでしょうか。

欠格要件の条文がないのに、なれない理由がある。ここに問題の「二重構造」が隠れています。

理由:二法の欠格事由が連動する

その答えがこちらです。

賃管業法・宅建業法の欠格事由が連動するから、業務管理者になれないのです。

流れを整理しましょう。

  1. 賃管業法・宅建業法のどちらにも「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」は欠格事由として定められている
  2. この欠格事由に該当すると、賃管士・宅建士のどちらの資格登録もできなくなる
  3. 資格登録ができないということは、業務管理者の選任要件(ルートA・B)を満たせないということ
  4. だから選任できない

つまり、「欠格要件の条文が直接あるから」ではなく、「資格登録ができないから、結果的に業務管理者になれない」という間接的な構造になっているわけです。これが今回の問題の二重構造です。

STEP4:欠格事由の比較表

次に、賃管業法と宅建業法の欠格事由を比較してみましょう。

欠格事由賃管業法宅建業法
心身の故障〇(共通)〇(共通)
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者〇(共通)〇(共通)
禁錮以上の刑〇(共通)〇(共通)
罰金刑類似類似
登録取消類似類似
未成年者類似類似
事務の禁止処分中の者なし〇(宅建業法のみ)

両法に完全に共通する欠格事由は、心身の故障・破産・禁錮以上の刑の3項目です。今回の問題「破産して復権を得ない者」はまさにここに該当します。だから賃管士も宅建士も登録できず、業務管理者になれない、という結論になりました。

そして宅建業法のみに「事務の禁止処分中の者」があり、賃管業法固有の欠格事由はないという点も確認できます。

ここで注目してほしいのが、表の中で「類似」とした3つの項目です。「罰金刑」「登録取消」「未成年者」は、一見すると両法に共通しているように見えます。実際、似た内容の規定は両法にあります。しかし厳密には内容が異なります。

たとえば「未成年者」の欠格事由を見てみましょう。

  • 賃管士では「賃貸住宅管理業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない者」が欠格
  • 宅建士では「宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない者」が欠格

つまり「どちらの業の行為能力を持っているか」によって、結果が変わってくるのです。

たとえば「宅建業の行為能力はないが、賃貸住宅管理業の行為能力はある」という未成年者の場合――宅建士登録はできないけれど、賃管士登録はできます。つまり片方の法律では欠格だが、もう片方では欠格ではないという状況が生まれるのです。

これが次の例題の肝になります。「両法で内容が類似しているが完全に同じではない」――この違いを理解しているかどうかが問われる問題です。さっそく確認してみましょう。

例題で確認

前章で「宅建業では欠格だが、賃管業では欠格でない場合がある」という話をしました。その具体的な場面がまさにこの例題です。

問題:「宅地建物取引業に係る営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でも、業務管理者になれる場合がある。」〇か×か?

前章を読んだ後なら、ピンと来た方もいるのではないでしょうか。少し考えてみてください。

答えは「○」、正しいです。

解説を確認します。

① まず、問題文が問うているのは「宅建業に係る営業」の行為能力です。欠格事由の文言は「宅地建物取引業に係る営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」ですから、すべての未成年者が欠格になるわけではない、というのがポイントです。

② この問題の未成年者は宅建業の行為能力がない、つまり宅建士の登録欠格事由に該当します。ですからルートBで業務管理者になることはできません。

③ ここが「類似だが同じではない」の核心です。宅建業の行為能力がなくても、賃貸住宅管理業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力があるなら話は別です。そちらの欠格事由には該当しないので、賃管士(ルートA)として登録でき、業務管理者に選任される場合があります。

つまりこの問題は、「両法の欠格事由が似ているようで、対象とする業が違う」という点を正確に理解していないと解けない構造になっています。表面的に「未成年者は欠格」と覚えているだけでは、この問題に正しく答えられません。これがまさに、今回の試験問題の二重構造です。

まとめ

最後に今回の重要ポイントをまとめます。

  1. 業務管理者になるには、賃貸不動産経営管理士または宅建士(+実務経験2年+講習)の登録が必要
  2. 賃管業法・宅建業法のどちらにも「破産して復権を得ない者」は欠格事由として定められている
  3. 欠格事由に該当すると資格登録ができず、業務管理者の選任要件を満たせないため選任できない
  4. 復権を得た後は欠格事由から外れ、資格登録が可能となり業務管理者への選任も可能になる
  5. 両法の欠格事由は「類似するが同じではない」。宅建業の行為能力がなくても、賃管業の行為能力があれば賃管士(ルートA)として登録でき、業務管理者になれる場合がある

おわりに

今回お伝えしたかったのは、賃貸不動産経営管理士試験が年々、難易度が増し、より深い知識が必要になってきたということです。

一昔前であれば、「欠格事由に当たる人は業務管理者になれない」という表面的な知識だけで正解できた問題も、今は違います。さらに奥にある知識を用いなければ正解できない問題が増えてきました。

「なんとなく知っている」といった暗記の知識から、「なぜそうなるのかが説明できる」といった深い理解度を身に付けるかどうかで、これからの賃貸管理士試験の合否を分けるかもしれません。

この記事が皆さんの学習の参考になれば幸いです。

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