こんにちは
資格のペンギンです!
宅建士試験の宅建業法を学ぶ上で、
宅建業の免許と宅建士の登録の基準や変更の届出などが問題に混ざってくると混乱しやすくなる個所があります。
実際に、具体的にどこの部分が混乱しやすくなるかを、一部、条文を比較して解説していきたいと思います。
2025年2月掲載
宅建業の免許欠格事由と宅建士の登録欠格事由で混乱が生じやすくなる条文
1つ目です
宅建業の免許欠格事由からです
宅建業法、第五条第一号
第六十六条第一項第八号【不正手段による免許取得】又は第九号【業務停止処分で情状が重い、業務停止処分違反】に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者・・・続く。
宅建業法、第五条第十二号
法人でその役員又は政令で定める使用人(個人事業者の政令で定める使用人も含む。)のうちに【第一号】から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
以上の条文からわかることは
→不正手段の免許取得等で宅建業を取り消されたときに、政令で定める使用人であった者は、取り消し日から5年を経過しないと宅建業の免許を取得できないことが、条文から分かります。
次は宅建士の登録欠格事由からです
宅建業法、十八条三号
第六十六条第一項第八号【不正手段による免許取得】又は第九号【業務停止処分で情状が重い、業務停止処分違反】に該当することにより第三条第一項の免許【宅建業免許】を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内にその法人の「役員」であった者で当該取消しの日から五年を経過しないもの)
以上の条文からわかることは
→別の号にて、宅建士に係る政令で定める使用人の記載はありませんので、この条文から、宅建士の登録欠格事由は役員または、個人で免許を受けた者が該当し、政令で定める使用人は該当しません。
総括して導き出されること
不正手段による免許取得等で宅建業の免許を取り消されたときに政令で定める使用人であった者は、宅建業の免許取り消し日から5年は宅建業の免許を受けることができないが、宅建士の登録は5年を待たずに登録を受けることができるということが分かります。
逆に、不正手段による免許取得等で宅建業の免許を取り消されたときに役員(聴聞期日場所の公示日から60日以内)であった者、または個人であれば免許を受けた者は、宅建業免許取り消し日から5年を経過しないと宅建業の免許および宅建士の登録が受けられないということが分かります。
2つ目です
宅建業の免許欠格事由からです
宅建業法、第五条十一号
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号【宅建業免許欠格事由】のいずれかに該当するもの
以上の条文からわかることは
→法定代理人が免許欠格事由に該当しなければ、宅建業の営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でも、宅建業の免許が受けられることが分かります。
次は宅建士の登録欠格事由からです
宅建業法、第十八条一号
宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
以上の条文からわかることは
→宅建業の営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は、宅建士の登録を受けることができないということが分かります。
総括して導き出されること
宅建業の営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でも、宅建業の免許は受けることができるが、宅建士の登録を受けることができないので、宅建業を営むには他の人で専任の宅建士を用意する必要があるということになります。
宅建業の免許の変更届出と宅建士の登録の変更届出で混乱が生じやすくなる条文
宅建業について
宅建業法、第九条
宅地建物取引業者は、前条第二項第二号から第六号【宅建免許届出必要事項】までに掲げる事項について変更があった場合においては、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
宅建士について
宅建業法、第二十条
第十八条第一項【宅建士】の登録を受けている者は、登録を受けている事項に変更があったときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。
総括して導き出されること
届出が必要な宅建業の免許の変更があった場合は、変更日から30日以内に届出を行い、届出が必要な宅建士の登録の変更があった場合は、遅滞なく届出が必要であることが分かります。
宅建業の免許の変更届出と宅建士の登録の変更届出の必要事項で混乱が生じやすくなる条文
宅地建物取引業者は、前条第二項第二号から【第六号(専任の宅建士の氏名)】までに掲げる事項について変更があった場合においては、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
宅地建物取引業法施行規則第十四条の七
法第二十条【宅建士の変更届出】の規定による変更の登録を申請しようとする者は、別記様式第七号【様式の項目、氏名、『住所』、本籍、従事する事務所の商号又は名称および免許番号】による変更登録申請書をその者の登録をしている都道府県知事に提出しなければならない。
総括して導き出されること
専任の宅建士の住所が変更となった場合は、宅建業の免許変更の届出は必要ないが、専任の宅建士は宅建士の登録者として住所変更の届出をしなければならないことが分かります。
宅建士の登録消除について、宅建士の条文の中で混乱しやすい条文
宅建業法、第十八条第九号
第六十八条の二第一項第二号から第四号まで【宅建士証を受けた者で不正手段で宅建士の登録および免許証交付、事務禁止処分について情状が重いとき、事務禁止処分違反】又は同条第二項第二号若しくは第三号【宅建士証を受けていない登録だけの者で、不正手段での登録、宅建士の事務を行い情状が特に重いとき】のいずれかに該当することにより登録の消除の処分を受け、その処分の日から五年を経過しない者
宅建業法、第十八条十一号
第六十八条第二項又は第四項【都道府県知事が同県の宅建士、他県の宅建士に対し、(専任宅建士が他事務所へ重複して専任宅建士表示を許諾すること、他人に自己名義を表示を許諾すること、宅建士事務に関し不正、著しく不当であること)3点の違反】の規定による禁止の処分を受け、その禁止の期間中に第二十二条第一号の規定【本人から登録の消除の申請があったとき】によりその登録が消除され、まだその期間が満了しない者
総括して導き出されること
事務禁止処分を違反して宅建士の登録が消除された場合は、その日から5年経過しなければ宅建士の登録が受けれないのに対し、規定の事務禁止処分中に自身で宅建士の登録の消除申請をした場合は、事務禁止処分後に登録を受けることができるので、消除の日から5年を待たずに登録が受けられることが分かります。
まとめ
宅建業法において、宅建業の免許と宅建士の登録について似てる条文がありますので、その条文同士の違いを見直してみるのも良いと思います。
2025年2月掲載