目次
督促業務の法令遵守
延滞家賃の督促業務については、神経質に行う必要があります。
なぜならば督促する側が、立場上優位に立つため、債務者に対して威圧的になったり過剰な督促を行いがちになってしまうからです。
自力救済の禁止
司法手続きを行うことなく実力行使をもって家賃を回収する行為、延滞者である賃借人の賃借建物の占有部分を、実力をもって取り上げることを自力救済と言います。
自力救済は違法であり、禁止されています。
自力救済の例は
・賃借人の鍵を勝手に新しい鍵に換えてしまって中に入れなくさせてしまう
・玄関扉にみんなが分かりやすいように家賃督促の内容が書いた紙を張りつける
・スペアキーで勝手に部屋に入って物品を処分して家賃に充ててしまう
・賃借人の勤め先に電話をして、電話に出た人に対して具体的に家賃滞納の内容を話して、賃借人に代わってほしいと言うなど
自力救済を管理会社は行うことにより、民事、刑事、行政の罰則を受けることになります。
会社の信用が無くなってしまうレピュテーションリスクが起こります。
自力救済を正当化しようと賃貸借契約書の特約に記載すると、公序良俗に反して無効となります。
例えば「賃借人が家賃を滞納すると、新しい鍵に変更することを賃借人はあらかじめ承諾するものとする」と言った内容です。
強制執行について
強制執行とは、債務者が債権者に対して負う債務を支払わなく、当事者間でも解決が困難なときに債権者が国の執行機関に申し立てをして、国の公権力によって債権の回収などを実現させる手続きのことを言います。
強制執行を実現するには
強制執行を実現するには
・債務名義
・債務名義の送達
・執行分の付与
の3点が必要になります。
債務名義とは
債務名義とは、強制執行を行うことを前提として、必要となる公的機関が作成する書類のことです。
建物の明け渡しに必要な債務名義は
・確定判決
・仮執行宣言付き判決
・調停調書
・和解調書
になります。
公正証書にて作成した賃貸借契約書や強制執行認諾約款付き公正証書は建物明け渡しの債務名義にはなりません。
その後、債務名義を債務者に対して送達します。
執行文の付与
強制執行の効力を持たせるためには、債務名義に執行文を付与してもらう必要があります。
付与者は
・債務名義が公正証書の場合、原本を保管している公証人
・債務名義が公正証書以外の場合、裁判所の書記官
になります。
建物明け渡しの強制執行は執行官が行いますが、債権への強制執行は執行官が行わず債権者が行います。
おさらい問題
○か×で答えてね
① 自力救済は債権者が一方的に行うことは禁止されているが、事前に債務者に承諾を得て契約書の特約に付すことによって行使できる
② 建物明け渡しの債務名義は公正証書で作成された賃貸借契約書も含まれる
③ 執行文の付与において、公正証書以外で作成されたものについては、強制執行の執行官が付与する
④ 債権への強制執行は執行官が行う
正解は
① × 債務者の承諾を得ても、契約書に特約を付しても禁止されています
② × 含まれません
③ × 裁判所の書記官が付与します
④ × 建物の明け渡しの強制執行は執行官が行います
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