目次
割れ問の2つの選択肢
【問題文】
原状回復ガイドラインにおける借主の負担に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
・割れ問選択肢
①タバコのヤニがクロスの一部に付着して変色した場合、当該居室全体のクリーニング又は張替費用を借主の負担とする。
②鍵は、紛失した場合に限り、シリンダーの交換費用を借主の負担とする。
おそらく②が適切なものと思われます。
①番の選択肢の解説
原状回復ガイドラインによると、
喫煙等により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、当該居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられる。
と記載があります。
居室全体のクロスのヤニの付着が対象となるので一部だけにヤニがついて変色した場合は、対象にならないと思われます。
では選択肢の記載の一部にヤニが付着した場合どうなるかと言うと、クロスの一部毀損という扱いになり㎡単位の張替え、もしくはヤニがついている側の一面部分のクロスの張替えになると思われます。
そして居室全体のクリーニングについては該当しないと思われます。
②番の選択肢の解説
原状回復ガイドラインによると、
鍵の紛失の場合はシリンダー交換
と記載があります。
紛失しなかったとき以外は、原状回復において借主の負担ではないということになります。
①番の選択肢をひねくれた解釈にすると
「一部だけ」という範囲を、天井一面と天井部分から接している他のすべての面の若干部分にヤニが付いている場合を想定してみます。
ヤニは部屋全体には付着していないので、「一部」に付着していると解釈できます。
原状回復のガイドラインでは、クロスの一部の毀損において、毀損部分側の一面までクロス交換が許容されています。
よって、ヤニで付着した天井のクロスの取替えは当然として、若干にヤニが付いている部分の他のすべて面についても、一部毀損扱いと考えることができ、毀損側一面のクロスの張り替えることができると想定されます。
結論的に、すべての面のクロスの張替えという形となり、その原状回復費用が借主負担となります。
全ての面のクロスの張替え費用とその居室全体のクリーニング費用を勘定すると、ほぼほぼクロスの張替の費用が高いです。
そう考えるとクロス全体の張替えの代わりに居室全体のクリーニングを選択した方が借主にとっても有利となりますので、クロス全体の張替え又は居室全体のクリーニングは借主負担と考えても妥当と言うことになります。
そこまでの想像力を働かせますと、むりやりでありますが①番の選択肢は適切と言うことができます。
そしてどちらが正解かわからない割れ問となります。
まあ問題文からはここまでは想像できないのかなと思いますが。
まとめ
実務における現状回復の清算については、全く同じケースがあるとは考えづらく、ケースバイケースの対応が必要とされます。
賃貸不動産経営管理士試験を解くにあたっては、実務を想定して奥深くまで考えず、テキストの内容を理解して素直に解くようにされると良いのかもしれません。