賃貸不動産経営管理士

民法における契約と制限行為能力者とは?諾成契約・4タイプの違い・試験頻出ポイントを徹底解説

ペンギン社長

不動産業界歴約20年・代表歴約6年の現役不動産会社代表。 宅建士・賃貸不動産経営管理士・マンション管理士・ 管理業務主任者・FP2級など5資格以上を保有。 40代で賃管士に挑戦し1回目不合格を経て2回目で合格。 実体験をもとに不動産業界に興味がある方・ 入りたての方へ向けて役立つ情報を発信しています。

※本記事にはプロモーションが含まれています。

賃貸不動産経営管理士の試験において、

民法における契約の基本と制限行為能力者

毎年出題される重要テーマです。

「諾成契約って何?」
「制限行為能力者が契約したらどうなるの?」
「成年被後見人と被保佐人の違いは?」

これらを正確に理解していないと失点します。

今回はおなじみ不動さんふーちゃん先輩の会話を交えながら、

民法における契約の基本から制限行為能力者の4タイプまで、

試験に出るポイントに絞って徹底解説します。


この記事でわかること

  • 契約の基本(諾成契約・契約自由の原則)
  • 契約自由の原則の4つの自由と各制約の具体例
  • 制限行為能力者の4タイプと取り消せる範囲
  • 被保佐人の同意が必要な10項目(試験頻出)
  • おさらい問題で理解度チェック

まず試験頻出ポイントを表で整理する

項目試験に出るポイント
契約の成立意思表示の合致だけで成立(書面不要)=諾成契約
相手方選択の自由民法の明文の定めはない
終身建物賃貸借契約締結・内容決定・方式の自由の3つ全てに制約あり
成年被後見人日用品の購入以外は自ら法律行為ができない
成年後見人の同意同意があっても成年被後見人は取り消せる
被保佐人保佐人の同意が必要な行為は10項目
被補助人補助人の同意権・代理権は審判での申立てによって与えられる

不動さん:

不動さん
テキストを見ると内容が多くて混乱しそうですね。

ふーちゃん先輩:

ふーちゃん
この表の8つのポイントさえ押さえておけば、契約と制限行為能力者の問題はほぼ対応できるよ。特に「成年後見人が同意しても取り消せる」という点が試験の定番引っかけだから要注意。

契約とは:諾成契約の基本

民法における契約は意思表示の合致によって成立します。

これを諾成契約といいます。

項目内容
契約の成立条件双方の意思表示が合致した時点で成立
書面の必要性原則不要(口頭でも成立する)
なぜ契約書を作るのか後日トラブルになったときの証拠として残すため

不動さん:

不動さん
え、口頭でも契約が成立するんですか?

ふーちゃん先輩:

ふーちゃん
そう。「この部屋借ります」「いいですよ」という意思の合致があれば、その時点で契約は成立している。契約書がないと証明できないからトラブルになりやすいけど、法律上は口頭でも有効なんだよ。ただし後で出てくるように、一部の契約は必ず書面が必要なものもある。

契約自由の原則と4つの自由

誰もが契約できるという契約自由の原則には4つの自由があります。

4つの自由内容民法の明文
①契約締結の自由契約するかしないかを自由に決められるあり
②内容決定の自由公序良俗・強行規定に反しない範囲で内容を自由に決められるあり
③方式の自由口頭・書面など契約の方式を自由に決められるあり
④相手方選択の自由誰を相手に契約するかを自由に決められるなし(明文の定めなし)

ポイント

試験のポイント

「相手方選択の自由は民法に明文の定めがある」→ ×

当然のことなので民法に明文の定めはありません。


契約自由の原則の制約:具体例一覧

①契約締結の自由への制約

具体例内容
終身建物賃貸借契約(同居配偶者の申し出)賃借人が死亡後、同居配偶者が1ヶ月以内に申し出た場合、賃貸人の意思に関係なく強制的に契約を締結しなければならない

②内容決定の自由への制約

具体例内容
終身建物賃貸借契約(同居配偶者との再契約)同居配偶者と契約するとき、賃貸人は内容を変更できず同一内容で締結しなければならない

③方式の自由への制約

契約の種類必要な方式
保証契約・定期借地の特約・定期建物賃貸借・取壊し予定の賃貸借書面または電磁的記録が必要
終身建物賃貸借契約書面が必要(電磁的記録は不可)

不動さん:

不動さん
終身建物賃貸借は書面だけで電磁的記録は不可、でも定期建物賃貸借は電磁的記録もOKなんですね。

ふーちゃん先輩:

ふーちゃん
そこが試験の引っかけポイント。「終身建物賃貸借=書面のみ」「定期建物賃貸借=書面または電磁的記録」という違いをセットで覚えておこう。

④相手方選択の自由への制約

制約の具体例
外国人であることを理由に賃貸借契約を拒むことは許されない
障害を抱えていることを理由に賃貸借契約を拒むことは許されない

制限行為能力者とは

判断能力に問題があり、契約や法律行為を自分で適切に行うことが難しいと法律的に認められた人を制限行為能力者といいます。

制限行為能力者は法律で保護されています。

4タイプの比較一覧

タイプ対象者保護者自ら法律行為取り消せる人
未成年者18歳未満法定代理人(親権者)同意があればできる法定代理人・本人
成年被後見人判断能力を欠く状況にある人成年後見人日用品購入以外はできない成年後見人・本人
被保佐人判断能力が著しく不十分な人保佐人日常行為はできる(一部要同意)保佐人・本人
被補助人判断能力が不十分な人補助人原則できる(申立てによる制限あり)補助人・本人

①未成年者

項目内容
未成年者の年齢18歳未満(2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げ)
法定代理人親権者(父母共同)・いない場合は未成年後見人
法律行為の要件原則として法定代理人の同意が必要
同意なしの場合法定代理人または本人が取り消せる

法定代理人の同意なしでできる法律行為

できる法律行為具体例
①単に権利を得・義務を免れる行為贈与を受けること・借金を免除してもらうこと
②目的を定めて処分を許された財産の処分「お小遣い」として渡されたお金の使用
③営業を許可された場合のその営業法定代理人が許可した事業の運営

②成年被後見人

項目内容
対象者精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある人
手続き親族などが家庭裁判所に後見開始の審判を申立て
保護者成年後見人
自ら法律行為日用品の購入以外はできない
成年後見人が同意しても取り消すことができる(同意があっても無効)

不動さん:

不動さん
成年後見人が同意しても取り消せるんですね!同意があれば有効になると思いました。

ふーちゃん先輩:

ふーちゃん
そこが試験の一番の引っかけポイント。成年被後見人は「同意があれば有効」ではなく「同意があっても取り消せる」。なぜなら成年被後見人は判断能力を欠いているから、同意の意味を理解して行為すること自体が難しいとされているんだよ。

③被保佐人

項目内容
対象者精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な人
保護者保佐人
日常行為自ら行うことができる
同意が必要な行為以下の10項目

保佐人の同意が必要な10項目(試験頻出)

番号同意が必要な行為試験ポイント
元本を領収し、または利用すること
借財または保証をすること
不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為
訴訟行為をすること
贈与・和解・仲裁合意をすること
相続の承認・放棄または遺産の分割をすること
贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、または負担付遺贈を承認すること
新築・改築・増築・大規模修繕をすること「建物の改築」が含まれる点が頻出
樹木植栽・伐採目的の土地賃貸借10年超、それ以外の土地賃貸借5年超建物賃貸借3年超、動産賃貸借6ヶ月超年数・月数が試験頻出
上記①〜⑨の行為を法定代理人として行うこと

不動さん:

不動さん
⑨の年数が細かくて覚えにくいですね。

ふーちゃん先輩:

ふーちゃん
「樹木10年・土地5年・建物3年・動産6ヶ月」という順番で覚えると頭に入りやすいよ。あと⑧の「建物の改築」が含まれることも試験でよく出るから要注意。

④被補助人

項目内容
対象者精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な人
保護者補助人
自ら法律行為原則としてできる
補助人の権限審判の際に申立てによって特定の行為への同意権・代理権が与えられる
取り消せる条件同意権が与えられた行為について補助人の同意なく行われた場合

ポイント

試験のポイント

被補助人は成年被後見人・被保佐人と比べて制限が最も緩やか。

「被補助人は自ら法律行為ができない」→ ×

原則として自ら法律行為ができます。


3タイプの判断能力の違いを整理

タイプ判断能力の状態制限の強さ
成年被後見人判断能力を欠く最も強い制限
被保佐人判断能力が著しく不十分中程度の制限
被補助人判断能力が不十分最も緩やかな制限

ふーちゃん先輩:

ふーちゃん
「欠く→著しく不十分→不十分」という順番で制限が強い。この順番を覚えておくと、3タイプの違いが整理しやすくなるよ。

試験対策:おさらい問題

○か×で答えてください。

問題①
誰を相手方として契約をするかを自由に選択できる相手方選択の自由については、民法に明文の定めがある。

問題②
終身建物賃貸借契約は、書面または電磁的記録で取り交わさなければならない。

問題③
成年被後見人が土地の賃貸借契約を行った場合、成年後見人は契約を取り消すことができる。

問題④
保佐人の同意なく、被保佐人が建物を改築する契約を締結した場合、保佐人は取り消せるが被保佐人は取り消せない。

問題⑤
成年被後見人が土地の賃貸借契約を成年後見人の同意を得て締結した場合、成年被後見人は契約を取り消すことができない。

問題⑥
被補助人は自ら法律行為を行うことができない。

問題⑦
被保佐人が建物を5年超で賃借する契約を締結する場合、保佐人の同意が必要である。


正解と解説

① ×
相手方選択の自由は当然のことなので民法に明文の定めはありません

② ×
終身建物賃貸借契約は書面のみです。電磁的記録は認められていません。定期建物賃貸借は書面または電磁的記録の両方が可能なので混同しないよう注意。

③ ○
成年被後見人が行った法律行為は、成年後見人または本人が取り消すことができます。

④ ×
保佐人だけでなく被保佐人本人も取り消すことができます

⑤ ×
成年被後見人は成年後見人が同意しても取り消すことができます。成年被後見人は同意の意味を理解して行為することが難しいため、同意があっても取り消せる点が重要なポイントです。

⑥ ×
被補助人は原則として自ら法律行為を行うことができます。補助人の同意が必要なのは審判で定められた特定の行為のみです。

⑦ ○
建物の賃貸借について、保佐人の同意が必要なのは3年超の場合です。5年超は3年超を超えているので当然同意が必要です。

不動さん:

不動さん
問題⑤が一番引っかかりました!成年後見人が同意してもなお取り消せるというのは覚えておきます。

ふーちゃん先輩:

ふーちゃん
そこが一番大事なポイント。「成年後見人の同意=有効」と思いがちだけど、成年被後見人は同意があっても取り消せる。この特例をしっかり覚えておこう。

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まとめ:契約と制限行為能力者の4大ポイント

  • 諾成契約:意思表示の合致だけで成立・書面は原則不要
  • 相手方選択の自由:民法に明文の定めなし
  • 成年被後見人:成年後見人の同意があっても取り消せる
  • 被保佐人:同意が必要な10項目の「建物改築・賃貸借年数」を正確に覚える

この4点を押さえておけば、試験の契約・制限行為能力者に関する問題は確実に得点できます。

ふーちゃん
お疲れさまでした~目次に戻って次の勉強へレッツゴー!

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