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賃管士テキスト【民法における契約・制限行為能力者について】

ペンギン社長

不動産業で代表として仕事をしております。 不動産業界の仕事に興味がある方、不動産業界に入りたての方向けに記事を書いてまいります。

ふーちゃん
お部屋を借りるときに契約は必要なんだよね~
不動さん
その通りだよ。契約などの法律行為は民法で規定されているんだよ

ここでは民法における契約や制限行為能力者について解説してまります。

民法における契約・制限行為能力者についての本格的な一問一答はこちらから

目次

契約とは

民法における契約とは意思表示の合致によって成立します。

これを「諾成契約」と言います。

要するに「買いたいです」「売ります」といった意思の合致があれば、その時点で契約は成立します。

契約書などと言った明示的な形式の手続きは必要ありません。

なぜ一般的に契約書を取り交わすなどと言った明示的な形式の手続きを行うかと言うと、契約が終了した後で何かトラブルになった時、意思の合致の内容を明示的な形式で残しておくことで、その確証を用いてトラブルの解消に繋げられるといった理由からです。

契約自由の原則

誰もが契約をすることができるという原則が契約自由の原則です。

契約自由には

ポイント

契約締結の自由

内容決定の自由

方式決定の自由

相手方選択の自由

があります。

相手方選択の自由は、当然のことでありますので民法など明文の定めはありません。

契約締結の自由に対する制約

双方の意思の合致による事で契約が締結しますが、片方が契約しない旨の意思表示をした場合は、当然契約が締結されません。

契約するもしないも自由に決められるのが契約締結の自由なのです。

しかしながら片方だけの契約意思表示で契約が成立する場合があります。

片方だけの意思表示で契約成立する事例「終身建物賃貸借契約」

終身建物賃貸借において契約締結の自由に対する制約する事例があります。

終身建物賃貸借契約とは、賃借人が死亡するまで賃貸借契約を継続できる契約のことを言います。

そして賃借人が死亡した時は賃貸借契約は終了します。

しかしながら、その時に同居していた配偶者などが存在していて、賃借人死亡の日から1か月を経過する日までに、賃貸人に対してこれからも引き続き入居する申し出をした場合、賃貸人の意思とは関係なく強制的に、その配偶者などと終身建物賃貸借契約を締結しなければならないという制約があります。

内容決定の自由に対する制約

公序良俗に反しない、または強制規定に違反しない範囲において契約の内容を自由に決められることを内容決定の自由と言います。

しかし、上記の範囲内でも契約内容を自由に決められない場合があります。

契約内容を自由に決められない事例「終身建物賃貸借契約」

契約締結の自由でも出てきました終身建物賃貸借契約ですが、内容決定の自由にも制約を受けます。

賃借人が亡くなった後に、配偶者などと終身建物賃貸借契約を締結するときは、賃貸人は内容を変更することができずに同一の内容で契約しなければならないという制約があります。

方式の自由に対する制約

契約は双方の意思表示が合致したときに成立する「諾成契約」ですが、双方の意思表示が合致したとしても、ある方式を取らなければ契約が成立しない制約を受ける事例もあります。

契約方式を制約する事例

・保証契約、定期借地における更新がないなどの特約、定期建物賃貸借、取壊し予定の賃貸借契約

⇒契約成立するには書面または電磁的記録で取り交わさなければなりません。

・終身建物賃貸借契約

⇒契約成立するには書面に取り交わさなければなりません。

・事業用定期借地

⇒契約成立するには公正証書に取り交わさなければなりません。

相手選択の自由に対する制約

契約相手を自由に選択できるものですが、相手を選択する理由によって制約を受ける事例もあります。

契約相手を制約する事例

・賃貸借契約において賃借人が、外国人であることを理由に契約を拒むことが許されない事例

・賃貸借契約において賃借人が、障害を抱えていることを理由に契約を拒むことが許されない事例

 

制限行為能力者とは

契約の自由において、双方の意思表示が合致したときに契約が成立します。

ですが、誰もが意思表示をしたら、その意思表示が有効かと言うとそうではありません。

判断能力に何か問題があったり、意思表示において経験が乏しかったりすることにより、契約や法律行為上での約束ごとを履行することが困難と判断される方がおられます。

年齢制限に該当してたり、裁判所の審判を受けたりすると、制限行為能力者として法律的に保護されます。

ではどういう方が制限行為能力者かを解説してまります。

※法律行為とは、人が権利や義務を生じさせるために行う行為です。

未成年者

まずは未成年者が制限行為能力者に該当します。

2022年(令和4年)4月1日から成年年齢は18歳となりました。

よって17歳以下は未成年者の年齢となります。

未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければなりません。

未成年者が法定代理人の同意なく、法律行為を行った場合、法定代理人または未成年者本人はその法律行為を取り消すことができます。

法律行為を取り消すということは、行った法律行為を最初から無効なものにするという意味です。

法定代理人となるのは親権者です。もしいなければ未成年者後見人になります。

親権者は父、母がいれば共同親権となります。

法定代理人の同意なしでできる法律行為

①単に、権利を得られ、義務を免れる法律行為

②法定代理人が目的を定めて処分を許した財産を、その目的内で処分すること

③法定代理人が営業を許可した場合に、その営業を行うこと

成年被後見人

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある方について、親族などが家庭裁判所へ後見開始の審判をすることができます。

そして審判の結果、認められれば、親族などの方は成年後見にとして、事理弁識能力を欠いている方を成年被後見人になります。

成年被後見人は、自ら法律行為が行えなくなります。

ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではありません。

成年被後見人が行った法律行為について、成年被後見人本人または、成年後見人は取り消せることができます。

被保佐人

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である状況にある方について、親族などが家庭裁判所へ補佐開始の審判をすることができます。

そして審判の結果、認められれば、親族などの方は補佐人にとして、事理弁識能力が著しく不十分である方は被保佐人になります。

被保佐人は自ら法律行為をすること、日用品の購入その他日常生活に関する行為は行うことができます。

ただし以下の項目については補佐人の同意が必要となります。

尚、保佐人の同意なく行うと本人(被保佐人)または保佐人によって取り消すことができます。

ポイント

1、元本を領収し、または利用すること

2、借財または保証をすること

3、不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること

4、訴訟行為をすること

5、贈与、和解又は仲裁合意をすること

6、相続の承認もしくは放棄または遺産の分割をすること

7、贈与の申し込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申し込みを承諾し、または負担付遺贈を承認すること

8、新築、改築、増築又は大規模修繕をすること

9、樹木植栽、伐採の目的による土地の賃貸借10年、それ以外の土地の賃貸借5年、建物の賃貸者3年、動産の賃貸借6か月を超える賃貸借をすること

10、前各号の行為を法定代理人として行うこと

被補助人

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である状況にある方について、親族などが家庭裁判所へ補助開始の審判をすることができます。

そして審判の結果、認められれば、親族などの方は補助人にとして、事理弁識能力が不十分である方は被補助人なります。

被補助人は自ら契約行為をすることはできます。

しかし補助人審判の際に、申請者の申立てによって家庭裁判所は特定の行為について補助人に対して同意権や代理権を与えることができます。

同意権や代理権を与えられた行為について、補助人の同意なく行われた場合は取り消すことができます。

 

おさらい問題

○か×で答えてね

① 誰を相手方として契約をするかのを自由に選択できる項目については民法の明文にない

② 成年被後見人が、土地の賃貸借契約を行った場合は、成年後見人は契約を取り消すことができる

③ 保佐人の同意なく、被保佐人が建物を改築する契約を締結してしまった場合、保佐人は契約を取り消せるが、被保佐人は契約を取り消せない

④ 成年被後見人が、土地の賃貸借契約を成年後見人の同意を得て締結した場合、成年被後見人は契約を取り消すことができない

正解は

① 〇

② 〇

③ × 被保佐人も取り消せます

④ × 成年被後見人は日常生活における日用品購入以外の法律行為ができないので、成年後見人が同意したとしても成年被後見人は取り消すことができます。

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ふーちゃん
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