目次
賃貸不動産経営管理士が理解すべき建築法規とは
建築法規とは主に建築基準法を指しますが、建築基準法を理解するには膨大な時間を要しますので、賃貸不動産経営管理士に必要な項目を解説していきます。
既存不適格建築物について
既存不適格建築物とは、建物を建築したときには、その時の法律に沿って合法的に建築したが、その後に法律改正によってその法律には適合しなくなった建物のことを言います。
既存不適格建物の増築・改築・大規模修繕を行う際には、現行の法律に適合するようにする必要がありますが、全部を適合させることは困難になるため、制限が緩和されています。
一方、建築したときにすでにその時の法律に沿っていない建物を違反建築物と言います。
内装制限について
建築基準法において、火災発生時の延焼を防ぐために用途規模に応じて内装材料にさまざまな制限が課されてます。これは新築建物に限らなく、賃貸借の入居者入れ替え時の原状回復工事についても対象となります。
採光規定について
採光規定とは、居住の為の居室に対して、自然採光を確保するために、決められた広さの開口部分を設けなければいけないと規定されたものです。
居室に対する規定なので、事務所や店舗は対象外です。
居室の床面積に対して7分の1以上の採光に有効な開口部を作らなければいけないとされています。
襖など常に開けていられる2つの居室に対しては1つの居室と見なすことができます。
換気規定について
居室の換気について、人が居住するにおいて健康かつ快適な空間を作るべく換気規定があります。
全ての居室において定められている換気規定の要件は
ポイント
・居室の床面積に対して20分の1以上の換気に必要な開口部を設ける
・技術基準に従った換気設備をつける
のどちらかをする必要があります。
採光規定と同様に、襖など常に開けていられる2つの居室に対しては1つの居室と見なすことができます。
居室に対しては1時間に0.5(半分)の空気を入れ替えられる必要があると規定されています。
その他、便所や廊下については1時間に0.3の空気を入れ替えられる必要があります
シックハウス症候群の対策について
以前に建材などから飛散するホルムアルデヒドやクロルピリホスの発がん性物質が体内に入り、健康を阻害することから大きな問題となりました。
そこで2003年7月1日着工以降の建物において、政令で定める技術基準が適合する建築材料や換気設備を使うことを義務付けられました。
換気設備は、ごく1部の例外を除いて機械換気設備の設置が義務付けられています。
2003年7月1日前に着工した中古建物においても、増築や改築、大規模な修繕、大規模な模様替えを行う際、には、2003年7月1日以降の着工建物と同基準の建築建材や換気設備を使わなくてはいけません。
換気方式について
換気方式については「第1種、第2種、第3種換気方式」の3種類あります。
建物の使用内容によって換気方式を決めます。
3種類の換気方式
第1種換気方式
⇒機械給気から機械排気で行いますので強制的に給気排気を行う方式です。
主に地下室や映画館などで行われる方式です。
第2種換気方式
⇒機械給気から自然排気を行う方式で機械で強制的に給気を行い、自然に排気させる方式です。
室内は外へ空気が出ていこうとする正圧の状態になります。
主にクリーンルームなどで行われる方式です。
第3種換気方式
⇒自然給気から機械排気を行う方式で、自然の給気から、機械で強制的に排気させる方式です。
強制的に外へ排気させるので、外から内へ空気が入っていこうとする負圧の状態になります。
主にトイレ、浴室、台所などで行われる方式です。
天井の高さについて
居室の天井の高さは、2.1メートル以上としなければなりません。
傾斜がある天井の高さについては平均2.1メートル以上とする必要があります。
ロフトについては1.4メートル以下の天井の高さで、設置される居室の2分の1以下の広さにしなければなりません。
ロフトはあくまで物置と想定されているもので、居室ではありません。
界壁について
界壁とはアパートなどの共同住宅において各住戸の間を仕切る壁のことを言います。
建築基準法では「防火」「遮音」の観点から小屋裏または天井裏まで達するところまで界壁を設置しなければなりません。
例外的に天井の構造がJ界壁と同等の遮音性を有していればその限りではありません。
防火区画について
防火区画は「面積区画」「高層区画」「堅穴区画」「異種用途区画」に区分されています。
防火区画となる壁・床は、耐火構造の壁・床にしなければなりません。
区画を構成する部分に開口部を設置する場合は、防火扉や防火シャッターなどの防火設備を設置する必要があります。
避難規定について
法令で定められていて、避難が必要な時に利用できる階段を直通階段と言います。
集合住宅において居室から直通階段までの距離
・準耐火構造などは50メートル以内
・その他は30メートル以内
・2階と3階が使えるメゾネット型集合住宅は一番奥の部屋から40メートル以内(準耐火構造に限る)
にする必要があります。
直通階段の設置数
その階において、居室の面積が100㎡以上、耐火・準耐火構造は200㎡以上、6階以上の建物(床面積の合計問わず)の場合は、
直通階段を2つ以上設置しなければなりません。
その階において、居室の面積が100㎡以下、耐火・準耐火構造は200㎡以下の場合は、
避難上に有効なバルコニーを設置した場合は、直通階段は1つだけにすることができます。
廊下の幅
共同住宅において、居室の床面積の合計が100㎡以上の場合の廊下の幅は
・廊下の片側だけに居室がある片廊下の場合は1.2メートル以上
・廊下を挟んで向かい合わせに居室がある廊下の場合は1.6メートル以上
にする必要があります。
直通階段などの幅
・直上階の居室の床面積合計が200㎡以上の場合の階段の幅は1.2メートル以上
・それ以外は75センチメートル以上
・屋外階段の幅は90センチメートル以上
・屋外への出口の通路は1.5メートル以上
にする必要があります。
非常用照明について
建築物の各室から地上に至る避難通路となります廊下や階段(外気に開放された部分は除く)には、停電時にも点灯するバッテリーを内蔵した非常用照明の設置が義務付けられています。
非常用進入口について
3階以上の建物において、高さ31メートル以下の階については、消防隊が入れる非常用進入口を設置しなければなりません。
・非常用昇降機を設置している
・各階の外壁10メートル以内ごとに1メートルの円が入る窓がある
・各階の外壁10メートル以内ごとに幅75センチメートル、高さ1.2メートルの窓がある
以上の3点いずれかを満たしていれば非常用進入口を設置する必要はありません。
おさらい問題
○か×で答えてね
① 建物建築時の法律に適合していない建物を既存不適格建築物という
② 採光規定において事務所の床面積の合計から7分の1以上に自然採光ができる開口部を設置しなければならない
③ 換気規定において居室の床面積から20分の1以上に換気ができる開口部を設置して、1時間に0.3以上の空気を入れ替えるようにしなければならない
④ ロフトは天井の高さ2.1メートル以下にして、設置する居室の床面積2分の1以下にしなければいけない
⑤ 準耐火構造における居室から直通階段までの距離は30メートル以下にしなければならない
⑥ 5階以上の建物は床面積問わずに直通階段を2つ以上設置しなければならない
⑦ 共同住宅の廊下の幅は、片側廊下の場合、1.6メートル以上にしなければならない
⑧ 屋外階段の幅は75センチメートル以上にしなければならない
⑨ 3階以上の建物において、31メートル未満の階においては非常用進入口を設置しなければならない
正解は
① × 違反建築物の説明です
② × 事務所は採光規定の適用はありません
③ × 1時間に0.5(半分)以上の空気を入れ替えるようにしなければならない
④ × ロフトは天井の高さ1.4メートル以下です
⑤ × 準耐火構造における居室から直通階段までの距離は50メートル以下です
⑥ × 6階以上です
⑦ × 片側廊下の場合、1.2メートル以上にしなければならない
⑧ × 屋外階段の幅は90センチメートル以上です
⑨ × 31メートル以下の階です
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