民法「委任(準委任)」についての本格的な一問一答はこちらから
目次
管理業務受託契約と民法「委任(準委任)」の関係性について
賃貸住宅管理業者と大家さんが締結する管理業務受託契約は民法上で委任(準委任)契約の位置づけにあたります。
似た契約で請負契約というものもありますが、管理業務受託契約はこちらには当てはまりません。
委任(準委任)契約の性質について
ポイント
委任(準委任)契約は、口約束の契約(諾成契約)でも効力が生じます。
ですが、賃貸住宅管理業法では管理受託契約は契約書の発行が必須となっております。
民法と賃貸住宅管理業法の関係性は分かりやすく契約書で例えると、民法が契約書の本文で、賃貸住宅管理業法は契約書の特約文というところでしょうか。
委任(準委任)契約の報酬について
委任契約は報酬が発生することを前提としておりませんので、報酬が発生する場合は別途設定する必要があります。
管理業務の報酬の支払いは原則的には管理業務が完了した後に受け取る形になります。
管理受託契約書の特約に報酬を受け取る時期を管理業務が完了した後以外の時期に定めることによって、受領時期を変更して受け取ることもできます。
委任(準委任)契約のその他項目
・委託された業務について費用が発生する場合は、管理業者が大家さんにあらかじめ費用の請求した場合、大家さんはその時に費用を支払わなければなりません。
・賃貸管理業者は、大家さんから委託された管理業務を有償無償問わずに一般的のモラルに従って業務に取り組まなければなりません。
これを善管注意義務と言います。
・委託を受けた管理業者はやむを得ない場合もしくは大家さんに事前に承諾を受けなかった業務を別の人に再委託はできません。
・管理業者は業務中に得た報酬以外の金銭や物(法定果実)を大家さん(委託者)に引き渡さなければなりません。
また、その業務で管理業者が自分の名前で得た法定果実についても同様に大家さん(委託者)に引き渡さなければなりません。
・委任(準委任)契約の報告義務は、大家さん(委託者)が報告を求めてきたとき、もしくは委任(準委任)契約が終了したときに、遅滞なく報告しなければならない。
管理業務においては賃貸住宅管理業法で定期報告の義務が定められておりますので、そちらが優先されます。
委任(準委任)契約の終了について
注意ポイント
大家さん(委託者)もしくは管理業者(受託者)が死亡したとき、破産したとき
管理業者(受託者)が後見(認知症や精神障害といった精神上の障害)開始の審判を受けたとき
上記のことが発生したとき、相手方が知るまでは委任(準委任)契約(管理受託契約)が終了したことを主張できませんので、相手方にする通知する必要があります。
委任(準委任)契約の解徐の申し入れはいつでもできますが、相手方に不利な時期や受託者の利益目的で解除するときは損害賠償を委任者にしなければならない。
委任契約が解除時に、急迫な事情が生じた場合は、委任者が対応できるまでは解除された後でも受託者(管理業者)は対応しなければなりません。
ポイント
委任契約は第3者には承継されません。
例えば大家さんが他の人にアパートを譲渡したとき、管理受託契約は譲渡された人には引き継がれませんので、その人が求めるのであれば再度、管理受託契約をする必要があります。
おさらい問題
○か×で答えてね
① 委任(準委任)契約の報酬の支払いは後払いが原則で、支払時期を変える特約はできない。
② 委任(準委任)契約の受託中に生じた金銭について、受託者の名前をもって受け取った金銭であれば、委任者に引き渡さなくてもよい
③ 委任者が後見開始の審判が開始されたときは、委任(準委任)契約が当然に終了になる
④ 大家さんが管理会社と管理受託契約を交わしているアパートを他の人に譲渡した場合、管理受託契約の効力は譲り受けた人に引き継がれる
正解は
① × 特約で変えることができます
② × 引き渡す必要があります
③ × 受託者が後見開始の審判が開始されたときに終了となる
④ × 引き継がれません
おすすめ書籍
テキスト目次はこちらから
賃貸不動産経営管理士の勉強テキスト
賃貸不動産経営管理士の勉強について 不動さん賃貸不動産経営管理士の勉強ができるページです 順番にページを開いていただいて、理解頂ければ合格に近づくと思います ふーちゃん賃貸不動産経営管理 ...
続きを見る
今勉強した内容は賃管士テキスト目次の【管理業務受託契約と民法「委任(準委任)」の関係性について】です