目次
遺言について
遺言とは、被相続人が自身が亡くなった後の相続で自分の財産の取り扱いなどを、生前に法律上に定める方式によって行われる最終的な意思表示を残すことです。
遺言は2人以上で同一証書で行うことができません。
遺言の方式によっては証人または立会人の立会いの下によって行われますが、
ポイント
・未成年者
・相続人と推定される人や受遺者、それらの人たちの配偶者および直系血族
・公証人の配偶者、4親等以内の親族、書記、使用人
は証人または立会人にはなれません。
遺言は15才に達したら行うことができます。
遺言の効力は、遺留分の規定違反がない範囲になります。
遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができます。
遺言の方式は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証言遺言」「特別方式による遺言」の4種類になります。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、被相続人が全文、日付、氏名を自署し、印鑑を捺印する遺言です。
相続財産の全部または一部の目録を添付することも平成30年の相続法改正によって可能になりました。
その目録については、被相続人の自署は必要ないものとされました。
自筆証書遺言書は法務局で保管することができ、家庭裁判所の検認手続きは必要ありません。
公正証書遺言
公正証書遺言の方式は以下の項目を満たさなければなりません。
ポイント
・証人が2人以上の立会いが必要
・遺言者が遺言の内容を公証人に言葉で伝えること
・公証人が遺言者から口頭で言われた内容を、筆記して遺言者及び証人に対して筆記した内容を読んで伝える、または筆記した書面を閲覧させる
・遺言者及び証人が筆記の内容を承認した後に、各自署名捺印を行う(遺言者が署名できない状況の場合は公証人がその事由を付記したときは署名に代えることができる)
・公証人が以上の方式で作ったものである旨を付記して、署名捺印すること
秘密証書遺言
秘密証書遺言の方式は以下の項目を満たさなければなりません。
ポイント
・遺言者が、証書に署名捺印すること
・遺言者が、証書を封筒に封じ、証書に捺印した印鑑で封印すること
・遺言者が公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して、その封書が自身の遺言書であることと氏名住所を申述すること
・公証人が、証書提出日と遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人に署名捺印すること
秘密証書遺言を作成したが、秘密証書遺言の方式に沿っていなくても、自筆証書遺言の方式を具備している時は、証書遺言証書として効力を有します。
特別方式による遺言
死亡の応急に迫った者、伝染病隔離者、在船者、船舶遭難者の遺言で、署名捺印が不能な場合でも有効となる特則があります。
窮迫な状態から生存をして通常の遺言をできるようになってから6ヶ月間経ったら特別方式による遺言が失効します。
遺産分割について
相続が始まりますと、共同相続人は協議によって遺産のまたは一部の分割をすることができます。
被相続人が遺言によって5年間、遺産分割協議を禁止することも出来ます。
遺産分割協議が調わないときは家庭裁判所に審判を請求することができます。
遺産分割は相続開始の時にさかのぼって効力が生じますが、
被相続人がアパートを所有していて、相続が開始されたときの賃料はさかのぼりません。
相続開始時の賃料債権は各相続人に均等に分割されます。
遺産分割が終わった時から賃料債権を引きついだ相続人が、全ての賃料債権を引き継ぐことになります。
相続開始時の配偶者居住権
相続開始時に被相続人が所有している建物に配偶者が、入居していた場合に遺産分割又は遺贈の目的となったときに配偶者居住権を取得します。
配偶者居住権とは、配偶者が終身するまで被相続人所有の建物に居住できる権利です。
被相続人の他に配偶者以外の共有者がいましたら配偶者居住権を取得はできません。
配偶者居住権は登記することができ、建物所有者は配偶者に対して登記を備えさせる義務を負います。
登記をすることにより、第三者に対抗することができます。
建物自体は無償にて使用できますが、第三者に譲渡、賃貸することはできません。
建物を配偶者が修繕することはできますが、増改築することはできません。
配偶者は使用建物の善管注意義務を負い、それに違反した場合は建物所有者が配偶者居住権の消滅を請求できます。
配偶者短期居住権
法律上の配偶者が、被相続人が亡くなって相続開始時、被相続人が所有する建物に無償で居住していた場合に、短期的に継続して居住することが認められる権利です。
被相続人と同居していなくても認められます。
被相続人が配偶者以外の第三者と建物を共有していた場合でも、配偶者短期居住権は認められます。
しかし建物の持分を取得した人以外の共有者に対しては、配偶者短期居住権を主張することはできません。
配偶者短期居住権は登記することができないので第三者に対抗することができません。
建物の持分を取得した人が第三者に持分を譲渡した場合、譲受人に対しても対抗することができません。
相続を放棄しても、配偶者短期居住権を取得できますが、欠格事由や廃除で相続権を失った場合は取得できません。
居住建物は無償で使用でき、必要な修繕も出来ます。
配偶者は善管注意義務を負い、譲渡、第三者の貸し出しはできません。
配偶者短期居住権の存続期間
ポイント
配偶者に共有持分がある場合
遺産分割による建物の帰属の確定日、または相続開始から6ヶ月
いずれか遅い日までが存続期間
ポイント
配偶者に共有持分がない場合
消滅の申し入れの日から6ヶ月を経過する日まで
おさらい問題
○か×で答えてね
① 遺言は18才に達したらできる
② 被相続人は遺言によって遺産分割協議を3年間禁止することができる
③ 賃料債権を複数の相続人から特定の相続人に決まった場合、相続人は相続開始時からの賃料債権全部を相続する
④ 配偶者短期居住権は登記することによって第三者へ対抗できる
正解は
① × 15才に達したらできる
② × 5年間禁止することができる
③ × 賃料債権を相続した時から、賃料債権の全部を引き継ぐ。相続開始時から相続決定までの間は複数の相続人で均等に割って取得する。
④ × 配偶者短期居住権は登記できません
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