賃貸借契約の契約期間と更新について

賃貸不動産経営管理士

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ペンギン社長

不動産業で代表として仕事をしております。 不動産業界の仕事に興味がある方、不動産業界に入りたての方向けに記事を書いてまいります。

ふーちゃん
普通賃貸借契約って一般的には2年間に設定されることが多いんだよね
不動さん
そうなんだ。しかし例外的な場合も見られるから分かりやすく説明していくよ

賃貸借契約の契約期間と更新についての本格的な一問一答はこちらから

目次

賃貸借契約の契約期間について

民法上では、賃貸借契約の契約期間の上限は50年です。

50年以上の定めをしても、無効にならず50年に短縮されます。

特別法である借地借家法(民法より優先されます)ではどうなるかと言うと

ポイント

年数の上限

借地は原則30年(30年以上でも定めることができる)です。

借家は上限はありません。何年でも定めても大丈夫です。

ポイント

数の下限

普通借家は1年未満に定めてしまうと期間の定めがない契約になってしまいます。

ですので下限は1年以上となります。

定期建物賃貸借は1年未満に定めてもその期間となります。

期間の定めがない賃貸借契約とは、その名の通り契約期限がないので更新そのものもなくなります。

普通賃貸借契約で期間の定めがない契約をしても、賃貸借契約自体は有効になります。

契約期間中の解約について

定期建物賃貸借契約は契約期間中、原則的に賃貸人と賃借人は契約を解除できません。

不動さん
普通賃貸借契約の契約期間での解約は契約の種類によって異なるんだよ

契約期間の定めがない賃貸借契約

賃貸人からの解約の申入れは

ポイント

・解約日の6か月前

・正当事由が必要です

正当事由とは、賃貸人が解約するための相当な理由です。

よって賃貸人からは簡単には普通賃貸借契約は解約できません。

賃借人からの解約の申入れは

ポイント

・解約日の3か月前

になります。

賃借人からの解約の申入れは正当事由は必要ありません。

契約期間の定めがある賃貸借契約

不動さん
賃貸借契約書に特約があるかないかで変わってきます

契約書に特約がない場合

ポイント

・原則的に賃貸人と賃借人は解約できない。

居住用の定期建物賃貸借契約については例外規定あります。

契約書に特約がある場合

ポイント

・賃借人は解約できます。

解約の予告期間が設定されていない場合は、3か月前予告になります。

解約の予告期間が1か月前に設定されていればその期間になります。

ポイント

・賃貸人も解約ができます。

借地借家法に基づいての解約になります。

・正当事由が必要

・6か月前予告

賃貸人の解約予告期間を6か月間より短くすることはできません。

賃貸借契約の更新について

不動さん
更新の種類は「法定更新」「合意更新」の2種類あるんだ。

一般的には法定更新が多いです。

合意更新については、賃貸人と賃借人が更新日までに協議して更新するものです。

賃貸人の更新日の通知などは決められてません。

法定更新について

法定更新日の通知を賃借人に対して、更新日から1年前から6か月前までに行わなければなりません。

賃貸人は更新をしたくないのであれば、正当事由をもって上記期間内に通知しなければなりません。

賃貸人は正当事由をもって通知したにもかかわらず、賃借人が更新日以降に退去しなかったときは、賃借人に対して遅滞なく異議申し立てを行う必要があります。

遅滞なく異議申し立てをしないと更新したと見なされてしまいます。

法定更新の通知後、合意に至らず更新日が過ぎると、更新したと見なされてしまいます。

上記の2つのケースでの法定更新後は、期間の定めがない賃貸借契約の取り扱いとなり、それ以外の家賃などの条件は引き継がれます。

ですが、賃貸借契約書に法定更新後の契約期間を2年間とするとの特約は有効ですので、期間の定めがない賃貸借契約を避けるためには文言を入れる必要があります。

更新をしないで契約が終了する特約を書いたとしても、賃借人に対して不利な文言になりますので無効となります。

更新時の支払う代金について

更新時に支払う代金は「更新料」「更新手数料」「更新事務手数料」などと言われます。

更新事務手続きの際に、賃借人が支払います。

しかし、賃貸借契約書に更新料についての文言がない場合、賃借人は支払う必要はありません。

ですので、更新料については賃貸借契約書の特約に記載する必要があります。

更新料の金額については法外な金額になると消費者契約法に違反して無効になってしまいます。

特約について

特約は賃借人に不利(賃貸人に有利)な項目は無効となります。

逆に賃借人(賃貸人に不利)に有利なものは有効です。

【例】○○は解約の通知をしなくても解約できる

○○=借主は有効、貸主は無効

正当事由をもっと詳しく解説

不動さん
賃貸人が賃貸借契約の更新の拒絶に必要な事情や理由の事ですが、詳しく解説してまいります

正当事由は総合的な判断です。

ですのである特定の理由だけによって考慮されません。

正当事由としての考慮するところ

正当事由として考慮するところは以下の点です

ポイント

・賃貸人と賃借人が建物を使用するそれぞれの事情

・建物の賃貸借契約における従前の経過の内容

・建物の利用状況の内容

・建物自体の現在の内容

・賃貸人が賃借人に退去料の支払い

賃貸人と賃借人が建物を使用するそれぞれの事情

・賃貸人が更新を拒絶して、契約が解除された後に、建物を使用する理由や重要度

・賃借人が現状建物を使用する理由や重要度

・賃借人が他の建物に引越できるか、できないかなど

建物の賃貸借契約における従前の経過の内容

・賃貸借契約における権利金などの支払いがあるか、ないか

・賃貸借契約中の賃貸人、賃借人の義務をちゃんと果たせてるかなど

建物の利用状況の内容

・賃借人が周辺住民に迷惑をかけたり、勝手にペットを飼っていないかなどの用法遵守義務が果たせているか

・賃借人が設備などの建物の利用をちゃんとしているかなど

賃貸人が賃借人に退去料の支払い

・賃貸人が賃借人に対して退去料の支払いを申し出ているか、金額は妥当かなど

参考

正当事由の判断材料は特定するものではなく、総合的な判断となります。

よって退去料を支払うことや金額の大小だけでは解約はできません。

おさらい問題

○か×で答えてね

① 賃貸借契約における年数の上限は民法では50年と定められているが、建物の賃貸借契約では50年以上で定めることができる

② 普通賃貸借契約で1年未満の期限にすることは無効であるが、定期建物賃貸借契約で1年未満の期限にすることは有効である

③ 期限の定めがない賃貸借契約で、賃貸人の解約申入れは解約日から6か月前であるが、特約に記載することによって賃貸人の解約予告日を3か月前に設定することができる

④ 賃貸借契約の法定更新において、賃貸人は期日通り賃借人に正当事由をもって更新の拒絶の通知をした。賃借人が遅滞なく異議申し立てを行わず、更新日以降に居住を継続したときは更新日をもって賃貸借契約は終了となる

⑤ 更新の拒絶の正当事由は、立退料の支払いの有無だけでは判断されず、金額の大小によって判断される

正解は

① 〇 特別法の借地借家法が優先されます

② × 普通賃貸借契約で1年未満の期限で契約した場合、期間の定めのない賃貸借契約の扱いとなります

③ × 賃貸人の有利になる特約は無効です

④ × 賃借人の異議申し立ては関係なく、賃借人が更新後継続して入居を続けた場合、賃貸人が遅滞なく異議申し立てをしなければ、法定更新されたと見なされ賃貸借契約は継続されます

⑤ × 更新の拒絶の正当事由は立退料の件だけではなく総合的な判断によります

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