

建設業における請負について解説して参ります。
管理業においても修繕を行う際には請負契約を結ぶ場合もあります。
目次
請負について
請負とは、注文者より仕事を請け負い、仕事を完成させた対価として報酬を受け取る契約のことです。
委任契約とは違い、「報酬が発生すること」「仕事の完成が目的である」が請負の特徴です。
請負契約も諾成契約で特に書面を交わすことによる契約効力の発生ではありませんが、一般的には書面を取り交わします。
報酬については、仕事の完成後の受け取り(後払い)であって、完成によっての報酬の受け取りになります。
よって未完成については原則的には報酬が発生しませんが、
注文者の責任があるとき
全額報酬を請求できます
未完でも注文者が利益を得たとき
利益に応じて、部分的に報酬請求できます
請負契約の完成物引渡しの不備について
完成物の引き渡しに不備があった時の対応について解説します。
追完請求
追完請求とは、不備がある完成物について、修補、代替物や不足物の引渡しを請求することです。
・請負人責任の有無の必要はありません。
・注文者の責任があるときは請求できません。
報酬減額請求
報酬減額請求とは、追完請求を行った後、催告したのに期間内に追完しなかったときに報酬の減額を請求することです。
追完が不能と分かっていれば催告は必要ありません。
・請負人責任の有無の必要はありません。
・注文者の責任があるときは請求できません。
損害賠償請求
追完不能などの債務不履行によって注文者に損害が生じた時、請負者に対して賠償請求のことを言います。
・請負人責任は必要です。
・注文者の責任の有無の必要はなく、請求できます。
契約解除
追完請求後、催告したが期間内に軽微ではない追完ができなかった。(追完不能の場合は催告不要)
・請負人責任の有無の必要はありません。
・注文者の責任があるときは契約解除できません。
※報酬減額請求と損害賠償請求の2つ一緒に請求をすることもできます。(令和4年度試験出題)
請負人の責任について
完成物の不備が、注文者の提供した材料や指図した材料によって生じた場合は請負人の責任は生じないです。
しかし、請負人が注文者の提供した材料や指示が不適当なことを知っていながら、注文者に告知しなかった場合は責任が生じます。
注文者が引き渡し物の不備を知ってから1年以内に請負人に通知しなかった場合は、請負人の責任は生じなくなります。
しかし引き渡し時に請負人が悪意または重過失であった場合は、責任が生じます。
完成前の契約解除について
請負契約は目的物の完成前であれば、注文者は契約を解除することができます。
逆に完成した後は契約解除はできません。
当然、請負人の損害が生じた場合は損害を賠償しなければなりません。
注文者が完成前に破産手続きを開始が決定された場合は、破産管財人または請負人は契約解除ができます。
建設業について
建設業を営むためには、建設業の許可が必要になります。
事務所が1か所の場合は「都道府県知事の許可」
事務所が2つ以上の都道府県にある場合は「国土交通大臣の許可」
になります。
許可有効期間は5年で5年毎の更新が必要です。
一定基準以下の請負については許可が必要ありません。
許可の必要のない請負工事
ポイント
建築一式の建築工事については
工事代金が1500万円未満もしくは延べ面積150㎡未満の木造住宅
建築一式ではない建築工事(リフォームなど)については
工事代金が500万円未満
は建設業の許可は必要ありません。
特定建設業について
発注者からある金額以上の工事代金になる場合、一般建設業より厳しい許可基準の特定建設業許可が必要になります。
工事代金が
建築一式工事の場合、6000万円以上
建築一式工事以外の場合、4000万円以上
であれば特定建設業の許可が必要です。
請負業者から更に請け負う業者は、上記の工事代金に達しても特定建設業の許可は必要ありません。
おさらい問題
○か×で答えてね
① 請負契約は諾成契約である
② 請負契約は仕事の完成によって発注者に報酬を請求できるが、いかなる場合においても仕事が未完の場合、報酬の請求ができない
③ 請負契約の追完請求において、請負人の責任の有無を問わずに請求できる
④ 請負契約の損害賠償請求において、請負人の責任の有無を問わずに請求できる
⑤ 請負契約の追完請求において、催告をしたにも関わらず期間内に軽微な追完が達成されなかった場合、注文者は請負契約を解除することができる
⑥ 建築において一式工事ではない場合、請負の工事代金が500万円以下の場合、建設業の許可は必要ない
正解は
① 〇
② × 注文者の責任がある場合や、未完でも注文者の利益になる部分があるのであれば、報酬を請求できます
③ 〇
④ × 請負人の責任がある場合、請求できます
⑤ × 軽微な場合は、請負契約を解除できません
⑥ × 500万円未満の場合、建設業の許可は不要です
おすすめ書籍
|
|

テキスト目次はこちらから
-
賃貸不動産経営管理士の勉強テキスト
賃貸不動産経営管理士の勉強について 不動さん賃貸不動産経営管理士の勉強ができるページです 順番にページを開いていただいて、理解頂ければ合格に近づくと思います ふーちゃん賃貸不動産経営管理 ...
続きを見る
今勉強した内容は賃管士テキスト目次の【建設業における請負について】です